Activity Report
能登半島地震避難者受入基金では、発災直後から主に二次避難者のための支援活動に取り組んできました。
岩城慶太郎が活動報告を以下にまとめております。
2024年1月
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二次避難用宿泊施設の提供
1月2日の夕刻、私の携帯電話をSNSに広く公開し、被災者の方々からの連絡・相談用の電話番号としてご利用いただきました。数日後から着信数が非常に多くなったため、自動転送機能による電話番サービスを利用することで、より多くの被災者の方のお問い合わせに答えることができました。本件サービスを探してくださり、手続きをして下さった早瀬さん、ありがとうございました。
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二次避難用宿泊施設の提供
石川県が二次避難を進める旨の考えを示したのは1月10日、二次避難コールセンターが開設されたのは1月14日でした。私たちは、石川県が二次避難の制度と体制を整えるまでの間、先んじて避難者に対して宿泊場所の提供を行いました。宿泊費用は全国の皆さまからお寄せいただいた寄付金で賄う予定でしたが、結果的には全て公費負担となりました。公費負担となるか否かがわからない時期は、宿泊費用合計1億円の個人負担を覚悟していました。皆さまからお寄せいただいた寄付金は、私たちの金銭的不安を払拭する大きな力となりました。本当に、ありがとうございました。
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二次避難用宿泊施設の予約システムの提供
当初、二次避難用の宿泊施設の予約受付は1つの携帯電話番号のみで行っていたため、二次避難ニーズが拡がりを見せるにつれ、応対能力の限界を迎えました。「株式会社こみんぐる」の林夫妻は、その問題の解決のため、避難者が直接宿泊施設に連絡をして予約が取れる仕組みを、たった1晩で作ってくれました。当初2施設のみだった参加宿泊施設は、林夫妻の尽力により、50施設を超える拡がりを見せました。この仕組みにより、約1,000人の方の二次避難受入を短期間に実現できました。株式会社こみんぐるの林さん、LINNAS金沢の松下さん、そして部屋を提供してくださいった宿泊施設の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
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二次避難者のための移動手段マッチングの提供
1月7日から、関東在住の方によるボランティアセンターを開設し、集まったボランティアの皆さんから様々な手段で被災地にいる友人・知人に二次避難の呼びかけを行いました。当初は自家用車等で自力で脱出できる方々に避難を呼びかけましたが、次第に移動手段がない方々が多いことが判明してきたため、物資搬送等で車両で被災地に入った方の戻り便に乗ってもらうマッチングを行いました。多くのボランティアの方が朝から夜まで絶え間なく活動をして頂いたことで、少しずつ二次避難の必要性が被災地に伝わり始めました。ボランティアに参加して下さった皆様、ありがとうございました。
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二次避難用空き家マッチングシステムの提供
二次避難用の宿泊施設が不足し始めたため、北陸3県にある「すぐ使える空き家」の情報を集め、それらと避難者をマッチングする仕組みを作りました。この仕組みは、システム構築、運用マニュアル作成、コールセンター運用まで、全てが数名のボランティアの方のオンライン作業で、しかも48時間以内に構築することができました。私は、これまでに、ここまでアジャイルなプロジェクトを見たことがありません。仕組みを構築して下さった皆さん、コールセンター業務を行って下さった皆さん、空き家を提供頂いた皆さんに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
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二次避難用空き屋への消耗品などの寄付
「すぐ使える空き家」には、充分な数の寝具などが無いケースもあったため、そういった空き家のオーナー様に対して、皆さまからのご寄付を原資として消耗品などの供給を行いました。
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二次避難バスの運行
1月8日、珠洲市の恋路観光さんのバスと乗務員の方が無事であることがわかり、二次避難にご協力頂けるようになりました。これにより二次避難の移送能力は一気に向上し、より多くの方に二次避難をして頂けるようになりました。恋路観光さんによる二次避難のオペレーションは、1月12日まで続きました。道路状況の悪い中を、自らも被災しながら運行して下さった恋路観光の皆さま、ありがとうございました。
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ウェブサイトの制作・運用
能登半島地震避難者受入基金は、主としてオンラインでの情報発信が多いこともあり、基金のウェブサイトを持つことは非常に重要なアクションでした。1月8日に東京に集まったボランティアの中に、たまたまウェブサイト制作ができる田代さんと糸永さんがいたことで、私たちの活動は非常に進みやすくなりました。田代さんには、ウェブサイトの制作ほか、SNSなどの運用もお手伝い頂いています。ありがとうございます。
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金沢駅と奥能登2市2町を繋ぐ往復バス運行
1月13日から19日までの7日間、金沢駅と奥能登二市二町をつなぐ定時運行バスの運行を始めました。下り便は金沢駅を朝6時に出発して11時頃に珠洲市内・輪島市内に到着、上り便は正午ごろに珠洲市内・輪島市内を出発、道路状況によっては金沢駅の到着が深夜になることもありました。7日間、運行を続けて下さった大和タクシー様、穴水ー輪島間のマイクロバスを毎日運行して下さった碓井さん、マイクロバスを貸して下さった七尾自動車学校様、ありがとうございました。
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インスタライブ「そうだ能登の話をしよう」
能登半島地震からの復興に向かう第一歩として、被災者である能登人が能登の過去・現在を語り、被災地外の皆さんと一緒に未来を考えるためのインスタライブ「そうだ、能登の話をしよう。」を開始しました。木村文乃さん、一青窈さん、常盤貴子さんといった能登に関わりのある方と、辻口博啓さん、篠原敬さん、池端隼也さんといった能登出身の方にゲスト出演して頂くことで、被災地内外の皆さんに広く能登を知って頂く機会を提供しています。ご出演頂いた皆さま、ありがとうございました。
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二次避難者のためのコミュニティ運営
二次避難が進み始めると、これまでのコミュニティから切り離され孤独感を味わう方が増えてきました。こうした問題を解決するために、基金では炊き出しやイベントなどを通して、二次避難者が集まることができるコミュニティの運営を行いました。このコミュニティ運営にご尽力を頂いたチームスクエアの皆さん、村上さん、そしてご協力いただいた飲食店の皆様、どうもありがとうございました。
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関東地方での公営住宅入退去時の往復航空券の無料支給
1月27日、能登空港と羽田空港を繋ぐ全日空便の運航再開に伴い、被災地から二次避難をし、関東地方の公営住宅に入居しようとする方へ航空運賃を支給することを表明しました。しかし、残念ながらこの取り組みに関するご利用のお申し出はありませんでした。
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二次避難コーディネーター/サポーターの発足と謝金支払い
発災後4週を過ぎるころから、被災地における二次避難の相談や、二次避難先における生活相談が多くなりました。それを受けて、二次避難コーディネーターや二次避難サポーター(ひなさぽ)といった方々に活動を開始して頂きました。当基金からは、そうした方々への活動経費として1日5,000円を支給することといたしました。コーディネーター/サポーターの皆さまの活動のおかげで、多くの被災者の方のお悩みを解決することができました。ありがとうございました。
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マンガ「二次避難のススメ」の制作
二次避難の啓発を目的に、能登出身の漫画家の方にマンガ「二次避難のススメ」を制作して頂き、SNSで発信するほか、避難所等への掲示をしました。
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市民による復興ビジョンの収集
能登の復興にあたっては被災地の市民ひとりひとりが復興ビジョンを掲げ、それらの「最小公倍数」の復興を目指すことが望ましいと考え、市民による復興ビジョン「能登の未来」の収集を開始しました。「語り手」(被災者)と「聞き手」(支援者)を分けることにより、被災地内外のマッチングをはかるほか、傾聴により被災者の心に寄り添う副次的な効果も生まれました。語り手・聞き手としてご参加頂いた皆さん、ありがとうございました。
2024年2月
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みなし仮設住宅入居時の仲介手数料の支給
賃貸型応急仮設住宅(みなし仮設)の仲介手数料が被災者負担となる「制度運用の穴」の発生したため、この仲介手数料を基金で負担する旨の発表をし、1日間で10名を超える方からの申請を受けました。一方で、この問題解決のため、石川県、内閣府防災、西田昭二総務大臣政務官等に、災害救助法運用上の穴であることを説明し、対応を求めました。その結果、みなし仮設入居時の仲介手数料は公費負担とすることができました。
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被災した学生に対する給付型奨学金の支給
珠洲出身米国在住の舟木さんからの提案により、被災した高校生・大学生等に対して年間120万円の給付型奨学金を支給する事業を開始しました。当初は30人前後の学生への支給を目指しましたが、応募人数の少なさと、奨学金原資となる寄付の集まりの少なさを勘案して、結果的に13名の支給を4月から開始しました。奨学生には月に1度の「能登復興会議」への参加を求めており、今後この復興会議を通して復興イニシアティブを輩出することを目標とします。この奨学金は皆様から寄付で給付することができました。ありがとうございました。
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能登乃國RAKUICHIの運用を通した被災事業者の支援
いくつかの事業者では、被災により販路が途絶えてしまったり、人手が足りずECを再開できないなどの課題を持っていることが判明しました。これを受け、基金独自のECサイト「能登乃國RAKUICHI」を開設し、代理販売を行うようになりました。また、ロンドン在住で、奥能登珠洲国際芸術祭の参加アーティストでもある、さわひらきさんに依頼した能登復興オリジナルキャラクターグッズの販売や、石川直樹さんの写真集の販売も、このECサイトで行っています。サイト構築と運用にご協力頂いた越後さん、ありがとうございました。
2024年3月
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能登のステキ写真展の実施
発災から2ヵ月が経過して能登半島地震のメディア露出は如実に少なくなってきたことを受け、「能登が忘れられないようにする」ために、能登の写真をGoogle Photo上に集めるプロジェクトを開始しました。その結果1ヶ月間で約5,000枚の写真が集まり、これらの写真をもとに、金沢在住の別川さんがボランタリーに写真展を開いて下さいました。ありがとうございます。当基金としては、写真の提供のみならず、写真展にかかるボランティアの募集および写真展にかかる一部経費の負担をしています。
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能登乃國百年之計(ビジョンライブラリ)構築
市民による復興ビジョン「能登の未来」を公開するためのウェブサイト「能登乃國百年之計」を制作し、公開しました。これにより、能登の市民の皆さんが思う「能登の未来」を誰もが閲覧することができ、地域やテーマ種別などで検索することができるようになりました。無理なスケジュールでサイト構築をして頂いた、日本ワイドコミュニケーションさん及び田代さん、本当にありがとうございました。